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海水魚飼育における雑談47



49.飾りサンゴの修理


メインを始めとして家の3本の飼育水槽において、魚たちの隠れ家等を構築しているのは飾りサンゴと呼ばれる、最初から死んでいてきれいに漂白されたサンゴの骨格です。土台としてサンゴ岩、所謂デスロックも少し使用していますが、全てサンゴの死骸です。

この飾りサンゴ、今では売っているショップもほとんどなくなり、ましてや大きくて綺麗な赤パイプサンゴやアオサンゴ、イエローサンゴ等は手に入らないといっても過言ではありません。

一応私は、まだ大きいアオサンゴ等の飾りサンゴを売っているショップを知っているので、必要となればそこから購入しますが、そのショップの在庫がなくなったら私の欲しいレベルの飾りサンゴを手に入れることはできなくなるでしょう。



現在使用している飾りサンゴは、18年前に転居が決まり新たに120cm水槽を立ち上げる事を決めてから、当時の様々なショップを巡り歩いて選んだものです。その頃はショップに行っても飾りサンゴばかり購入していました。現在3本の水槽を維持している私ですが、飾りサンゴの在庫はあまりありません。当時はさすがに、水槽3本分を集めるのが限界でした。

しかし一番古いもので既に18年間海水中に入れ、たまには取り出して真水に浸けながら歯ブラシで付着したコケを落としていたため、経年劣化によって脆くなり所々欠けたり割れたりし始めています。形の良い飾りサンゴ(特に気に入っているもの等)を新しく入手することは難しいため、私は壊れた飾りサンゴを修理して使い続けることを余儀なくされているのです。

私の飾りサンゴの修理方法、実は1985年のトロピカル・マリン・アクアリウム誌(No.11)に掲載されています。この記事は私が当時の編集のAさんに、「枝が折れたり割れたりした飾りサンゴの修理にエポキシ系接着剤を使おうと思うが、魚に有毒ということはないですよね」と尋ねたことが発端になったという経緯があります。

当時私は水生昆虫の飼育と採集も趣味としていたので、採集に使う柄の長い(1mぐらいのもの)玉網は押しなべてすぐに網枠が曲がって壊れてしまうため、網枠と柄の接合部にエポキシ系接着剤を厚く塗って固めて壊れないようにしていたことから思いついたのでした。

Aさんはわざわざ編集部にあった飾りサンゴを金槌でたたいて割り、私がエポキシ系接着剤で修理したものを海水魚水槽にいれて安全かどうか実験してくれたのです。それ以降、私は飾りサンゴが壊れるとエポキシ系接着剤を使って修理するようになりました。



さて当時使っていたエポキシ系接着剤は2液混合タイプで、混ぜ合わせて塗り付けると20分ぐらいでしっかりと固まり、1日放置すれば完全でした。商品名は「セメダインスーパー」といいましたが、最近購入しようとホームセンターで探したところ、同じ名前の接着剤は見つけましたが、1液タイプになっていました。また、エポキシ系接着剤なのかもよくわかりませんでした。



セメダインスーパー






他に探してみたのですが、どうも我が家の近くでは2液混合タイプの接着剤が見つかりません。仕方がないので、まあ同じ商品名で同じ製造元であるならば、同じ用途で使えるだろうと今のセメダインスーパーを購入し、試してみました。

結果、昔のものより固まるのは遅いですが問題なく修理に使用できました。使用のポイントとしては、対象とする飾りサンゴは完全に乾燥させ、接着面に塗ってくっつけた後に、接合部周辺にコーティングするように追加で塗り付けると長持ちします。

いろいろと頑張って探せば、昔のような2液混合タイプのエポキシ系接着剤が見つかるかもしれませんが、当面はセメダインスーパーでなんとかなることがわかったので、しばらくは使用していこうと思います。参考までに、セメダインスーパーと修理した飾りサンゴの画像を載せておきます。



飾りサンゴ修理箇所(左:修理箇所、右:飾りサンゴ全体)


  

  



まあ昨今の海水魚飼育は、飾りサンゴなんてほとんど使わないようですので、このテクニックもそれほど必要ではないのが実情でしょう。

もちろんセメダインではなく、生きたハードコーラル用の接着剤や水中パテを修理に使えればそれで構わないのですが、セメダインスーパーの利点は固まっても透明に近いので修理箇所の周囲にコーティングしても目立ちにくい事と、何より値段が安いことなので、私はこれを愛用しています。







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