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海水魚飼育における雑談43



45.モチベーション


海水魚飼育仲間と話していると、「最近すっかり飼育のモチベーションが低くなった」という言葉を聞きます。わかりやすく言ってしまうと、一通りヤッコだのチョウチョウウオだの(またはミドリイシ等のサンゴ類)を何年か飼ってみて、ちょっとこの趣味に飽きてきた、ということでしょうか。

どちらかというと「低い」時に使われることが多いようにも思えます。例えば、「最近海水魚飼育のテンションが低くて管理が疎かだ」、「モチベーションが上がらなくて、そろそろやめるかもしれない」、といった具合です。

とはいえ、今回取り上げているモチベーションの高低に関しては、管理している飼育システムに問題が起きず順調に推移していることが前提になります。



このモチベーションというやつは海水魚飼育に限って言えば、高過ぎても問題があるように思います。普通であれば低いより良いはずなのですが、もしあなた自身海水魚飼育のモチベーションが非常に高くなったらどのような行動を取るでしょうか。

おそらく、@ 欲しかった魚やサンゴを購入する(ようするに水槽内の飼育生物数を増やす)、A 新しい水槽を設置する(大体、それまでより大きなものになる)、B 周辺機器を充実させる、といったところでしょう。

普段は冷静に濾過能力や容量などを踏まえて収容する魚種や数を決めている人でも、モチベーションがやたら高いときは欲望に負けて大事なことを無視しがちです。この衝動は、私にも経験があるのでよく理解できます。

しかしよく考えてみましょう。魚同士の喧嘩もほとんど無く水質的にも落ち着いて上手くいっている水槽に、相性も考えず欲望に任せて新しい魚を入れてしまうと、一気に水槽内のパワーバランスを崩壊させる可能性があることを忘れてはいけません。

大抵は新参者がダメージを受けて死亡してしまう事が多いですが、古参の魚が序列を落としたことで急速に弱ってダメになることもあります。

普通はパワーバランスが変化し喧嘩が多発するような状態は、魚たちにとっても多大なストレスを感じさせる環境なのです。このような場合、新しく入れた魚の数よりも多くの魚が落ちてしまう経験を持っているのは私だけではないと思います。



次にモチベーションが低い場合に何が起きるか、考えてみましょう。

あまりにもモチベーションが下がった場合、最終的には海水魚飼育をそもそも止めてしまうところまでいくのです。その前段階として、まずはこれまで多少面倒に思っても定期的に行ってきた換水の間隔がだんだん長くなっていき、もちろん新しい生体を追加することもなくなります。

それでも今飼っている生体に関してはある程度世話しないといけない、という義務感は残っていますから、それを果たすためにシステムを維持するだけになり、新製品とか新しい飼育法等にも関心を持たなくなります。

そしてついに足し水だけとなって換水が半年に1回とか1年に1回となり、水槽内もコケだらけで鑑賞に堪えうるものではなくなっていくのではないでしょうか。そしてさらにモチベーションが低下すると、最終段階である海水魚飼育からの撤退に至ります。



モチベーションが高い場合も低い場合もちょっと極端な例を挙げてみましたが、このようになってしまう人も多いのではないかと思っています。

私の場合、モチベーションが高くなってしまうと水槽構築計画に沿わない魚を購入してしまったり、新しい水槽を設置しようとあれこれ考え始めたりしてしまうので、何とか高すぎず低すぎずというレベルを保つのに苦労しているつもりでした。

しかし今回書いた内容と自分を照らし合わせてみると、特にこれといって新しく入れたくなるような魚もおらず、新製品を試してみようという気概もなく、ひたすら6代目メレディティエンゼルが大きくなるのを待っている現状は、モチベーションが低下している時と同じような行動を取っていると言えます。

実際の所、現在の飼育魚達と相性が良い上で欲しい魚、という視点になるので、水槽構築計画の遂行を最優先で行うしかないと言い聞かせているのですが……。







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