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海水魚飼育における雑談19



20.魚の状態チェックに関する追加


さて,これから書く内容を見て皆さんはどのような第一印象を受けるでしょうか。


私はこれと決めた標的に対しては,全てを見通そうという意思を込めて強い視線を纏わりつかせ,日夜の区別なく標的のあらゆる行動を詳細に観察しています。無論,相手の都合とか意志とか感情等は考慮に入れません。

寝起きの何気ない行動は標的の素の状態を探る上で絶好の機会であり,さらには寝ている時の無防備な姿はこの上ない御馳走です。これらの姿を時間の許す限りどのような動作も見逃さず,脳裡に焼き付けています。

さらに目の動きや肌の張艶,傷や異常の有無,食事の際にも何をどれだけ食べているか,食べる勢いはいつもと変わらないか,等々健康状態のチェックも重要なチェック項目です。また,小さい方,大きい方の両排泄行為は盗撮してでも見たい重要評価項目であり,その時の姿,便性状,回数なども見逃しません。



自分で書いていて何やらイケナイ事をしているような気分になってしまいますが,決して女性をストーカーしているわけではありません。皆さんなら気が付くと思いますが,これは日々何気なく水槽を眺めている際に,私がごく自然に行っている魚達のチェック項目です。

まあ私もこの趣味は長いので,特に注意しなくてもこの程度は自然に目で追ってしまうのです。実際,魚の状態を調べるにしても獣医でもなければ血液検査などはできませんから,「日々の管理」や「海水魚の病気と対応」でも書いていますが,とにかく飼っている魚達を日頃から良く見る事です。

重要なことなので何度も書きますが,私たちが魚達の健康状態を判別するための情報はほぼ全て視覚から得る他はありません。重要なことは「日々の管理」で殆ど書いたのですが,もう一つ重要なチェック項目である排便と便性状について書き忘れていたので今回記しておこうと思います。



魚の種類によって健康で正常な便性状は若干異なるようですが,今回はヤッコの仲間に関して。

見ているとわかりますが,排泄する際にある程度の太さの便がニョロニョロ〜といった感じで無理なく出てくるときは,魚に取って正常な状態と考えてよいでしょう。このような便ですと,硬さとしては排泄された後しばらくは袋状の膜に覆われて形が崩れませんが,水槽底面や飾りサンゴにぶつかると崩れて中の糞がばらまかれる程度で,便自体もボサボサとした見た目であるぐらいが健康な消化具合のようです。

そういう便を排泄している時の魚は,何となく排泄する前も落ち着いた泳ぎをしています。

これが排泄の前にイライラしたように見えて時々ダッシュするような泳ぎ方をしたり,エアーレーションの泡にお腹を向けて刺激したりするような時は,食べすぎたかやや消化不良気味な状態と考えています。

このような時の便性状は,かなり勢いよく便が排泄され,排泄した直後から膜が破れて中の便が周囲にバラ撒かれる事が多く,見た目もなんとなく水っぽいというか崩れた際に粘つくような感じです。このような便をする時,私は植物性の餌を多く与えたり,場合によっては給餌を1回抜いたりといった対処を行っています。

最も状態が悪いと考えているのが,排便はするもののほとんどが袋状の膜だけで中身がなく,白い糸状に見えていつまでも肛門から切れずにぶら下がっている状態です。このような状態は,拒食してしまってある程度の期間が過ぎた個体や,極端に生餌や冷凍餌に偏食している個体,また何らかの原因によって消化器官に器質的な障害を受けている個体が示すことが多く,何らかの対応が必要になる事も多いのです。

餌付けや時間経過によって状態が改善されれば,便性状は上記のどちらかになっていきますから,内臓関係の状態を判断する手がかりの一つとして利用できます。



四六時中水槽の前に陣取って近くから凝視していると,魚達も居心地悪く感じて隠れてしまう事もありますが,だんだん慣れてきて飼い主が近くで見ていても普段通りの行動を見せてくれるようになります。

とはいってもあまり魚達にストレスを与えないよう,飼い主である貴方は魚達に悟られないように付きまとい観察するような,立派なストーカーになるべきなのかもしれません。

ただ残念ながら,調子が悪い事を早くから察知しても原因が分からなかったり,もはや手遅れで対処法がわからず死んでしまうのを待つより他なかった,という事も未だに多々あるのが現実です。対処方法がある場合は,いかに初期状態で処置を行うかが重要になってきますから,日々の観察を怠らないようにしましょう。







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