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海水魚飼育における雑談15



16.3日・3週間・3ヶ月


この表題,おそらく読んでいる方には意味不明だと思います。これは私が海水魚飼育の初心者から中級者だったころに使っていた一種のマイルストーンです。

意味はというと,新しく水槽に入れた海水魚を飼育する際にこの日数を上手く超えることができれば一安心,という区切りの日数を表しています。



まず3日ですが,これは新しく収容した魚が通る最初の関門で,2つの要因があります。

1つめは飼育システム的に見て,水槽内の魚の量が濾過能力の範囲内かどうか,つまり水質(アンモニア,亜硝酸,硝酸塩)的に問題ないか,ということです。逆に言うと,新着魚が3日以内に落ちてしまうようでは濾過能力的に問題があるため,至急対応の上改善しなければならない事を意味しています。

これは60cm以下の水槽で特に注意していた事です。幸い90cmのオーバーフロー水槽にしてからは,テスターを使用するようになった事もあって,それほど気にする必要は無くなりました。

もう1つは,新着魚が先住魚から受ける攻撃,威嚇を含むプレッシャーから来る強度のストレスを耐えられるか,ということです。

皆さんも経験があると思いますが,新しい魚を入れた際(特にヤッコやチョウチョウウオ)に先住魚は泳いでいるだけの新参者を高確率で追い回し攻撃します。たとえ泳いでいる時に攻撃をそれ程しなくても,餌を食べようとすると激しい攻撃を加えることもあります。

ただし経験上,先住魚からの攻撃は2〜3日で終わる事が多く,その期間を乗り越えて大きな外傷を受けたり怯えて出て来なくなったりしなければ問題なく飼う事ができました。この先住魚からの洗礼を耐えられる目安が,入れてから3日目ぐらいだと考えています。



次に3週間ですが,これはこの期間以内に何らかの餌を食べるようにならないと,高確率でそのまま拒食を続け痩せて衰弱死してしまうという,経験上における餌付けのタイムリミットです。

これだけは,今でも餌付けの目安として用いています。

私が最初にキヘリキンチャクダイを飼い始めた頃(飼育3年目ぐらいの時),比較的大きめの成魚を購入していたこともあってなかなか餌付きませんでした。それでも自分の水槽に迎え入れて3週間ぐらいは体型に大きな変化がないのですが,拒食期間が4週間ともなると背肉の落ちが目立つよう痩せてきて,その後1カ月半〜2ケ月で衰弱死を迎えてしまいます。

「雑談の1」でも書きましたが,キートドントプルス属の成魚はなかなか餌付けるのに苦労する個体が多く,10〜12cm程の未成魚に狙いを変更するまでは,3週間経っても餌付かないキヘリキンチャクダイの成魚に対して打つ手がなく,このまま落ちてしまう運命を思い何とも言えない絶望感を味わったものでした。



最後に3ヶ月ですが,これは濾過槽掃除(当時は3か月ごとに100Lの換水と毒抜きを行っていました。その間は1ヶ月ごとに25〜50Lの換水でした)を行うとなぜか掃除前は調子が良かった魚が,呼吸が速くなって餌を食べなくなって数日で急死してしまう事が多かったため,当時は海水魚飼育における最大の難関でした。

今なら原因などわかりきっているのですが,当時の自分はまだまだ未熟だったということを暴露するようで恥ずかしい限りです。

この突然死は90cmオーバーフロー水槽になってから起き始めた現象で,原因は濾過槽の毒抜きのやり方が粗かったことと,毒抜き後に「濾過槽内−ポンプ−取水口−ホース−濾過槽」という空回しを行わずにシステムを再稼働したことによる未同定の細菌による感染症です。

毒抜きはゴミが舞わないように静かにゆっくりと行う事が重要で,これを守らずに行うと濾材の中や簀子の下にいる細菌類を多量に海水中に舞わせてしまい,それが海水魚の鰓や表皮にダメージを与えてしまいます。

濾過槽と飼育槽の間にUV殺菌灯を設置したり,先に述べた空回しを30分から1時間程度行ったりする事で,このような細菌感染は防ぐことができます。今ならば絶対に起こさないようなミスですが,オーバーフロー水槽を使い始めた頃はそこまで注意が廻らず,多くの魚を落とす結果になってしまいました。



今となってはもう3ヶ月を気にする事もないのですが,先住魚による攻撃を耐えられるか,という点で3日を,餌付くかどうかという点で3週間を,いつになっても頭の片隅に置きながら飼育を続けています。







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